バイオ・フード・オーガニック部門

バイオ・フード・オーガニック部門

Division of Biotechnology, Food Science and Organic Chemistry

 本部門では、バイオ分野、フード分野(食品科学分野)、オーガニック分野(有機化学分野)の応用研究を通じて、人類社会を豊かにするさまざまな新技術の開発に取り組んでいます。
バイオ分野では、さまざまな分子を利用して人類の健康に役立つ研究に取り組んでいます。例えば、微生物の生命活動の中から有用な酵素を見つけ、未利用資源の有効活用やモノづくりなど、産業や生活に役立つさまざまな方面への応用に取り組んでいます(有馬二朗 教授・農学部)。また、細胞の微小管の内部に結合するペプチドを開発し、タンパク質や金属ナノ粒子などのさまざまなナノマテリアルを微小管内部に導入する独自技術を応用して、微小管の性質を変えることで、細胞機能を制御する技術の開発を目指しています(稲葉 央 准教授・工学部)。細胞表面に露出した膜タンパク質の立体構造を決定し、その機能を詳細に解明することで、これら膜タンパク質を標的とした新たな医薬品の開発に取り組んでいます(日野智也 准教授・工学部)。細胞膜や細胞壁を透過する独自の分子輸送キャリアーを利用して、動物細胞や植物細胞の中に物質を輸送し、細胞の機能を自在にコントロールする技術の開発を通じて、医療や農業をはじめとしたさまざまな産業分野で役に立つ技術の創出に取り組んでいます(岩崎 崇 准教授・農学部)。
フード分野では、農作物栽培や健康食品の開発に資する研究に取り組んでいます。例えば、乾燥地域における適切な農地管理法を確立するために、灌漑に伴う土壌中の塩類動態および土壌塩類化の機構解明や、食品廃棄物や家畜排せつ物を再利用した土壌改良資材としての活用に取り組んでいます(遠藤常嘉 教授・農学部)。乾燥地農作物の効率的な育種を目指して、乾燥地における熱・水収支の定量的解明、気象データと衛星データを併用した干ばつや土地劣化、砂漠化の全球モニタリング、作物の形態的・生理的な性質に関する情報を得るためのフェノタイピングなど、さまざまな研究に取り組んでいます(木村玲二 准教授・乾燥地研究センター)。モデル生物・線虫や培養細胞を用いて、食品に含まれるビタミンの新機能の解明や、生体調節に係る機能性成分の探索・解析を通じて、地域未利用食品資源の付加価値向上につながる研究(美白作用や血圧上昇抑制作用)に取り組んでいます(美藤友博 准教授・農学部)。 オーガニック分野では、有機化学的なアプローチから健康社会や地域社会に貢献する研究に取り組んでいます。例えば、未利用魚、魚介類廃棄部、駆除獣などを未利用資源として利用し、コンドロイチン硫酸などの生理活性糖鎖を単離・構造決定しています。また、特異的タンパクに結合するコンドロイチン硫酸オリゴ糖や、筋肉を構成するマンノシルグリカンの有機合成により薬剤の開発に取り組んでいます(田村純一 教授・農学部)。